今日は一路東へ!
京成八幡は大黒屋に。そうそう、永井荷風最後の食卓、「大黒屋」のカツ丼を食べに。
「どうもお」
「あら、いらっしゃい」
「中生とカツ丼ね」
ところがフロアの姉さんが、どこぞに散歩しているらしく、
「すいませんねえ。ずっと座りっぱなしだから、脚が弱ってぇ」
というおばあちゃん、恐らく晩年の荷風を知っているおばあちゃんが、姉さんの代わりに、よたよた脚で茶とオシボリを持ってくる。
カツ丼。特別に物凄く旨いわけではないが、なんとも味のある、好いカツ丼。飛び交う時空の味が好い。
そういえばこの店は、注文から出て来るまでが、異常に早い。またく、普段のタイム感覚を失わせる空間。
そのタイム感を戻そうと、しばし街を歩く。いきなり馬糞の匂いがする。構わずひたすら歩く。好い町並み。大正頃の家がゴロゴロ残っている。と、思えば、新興住宅街の真ん中に、串焼きの店、天婦羅呑み屋、などが共存している。葛飾八幡宮まで歩く。犬が多い。この辺りは散歩スポットなのだろう。
タイム感は戻らない。ならば暗くなるまで歩こう。
この辺りが昭和臭いのは、路地に入るとみな、鋪装されていない、ということ。ジャリ道でんがな。こういうのいいね。次の道、次の道、に迷わせる。迷った角には猫がいる。
「スタスタスタ」
塀を登る猫の脚が早い。
荷風ロード、に辿り着く。小学校沿いの道だ。おお!この小学校には、土俵!がある。なんとなく懐かしい。わしはずっと転校生だった。でも、相撲で、行くとこ行くとこ仲良くなった。わしらのガキの頃は、みな、相撲とっていた。
考えたら目白に似ているわ、この街。今に至るまで、3年と同じ家に住んだことのない、おいら。無理に故郷を作るなら、目白かい!その街に似とるかい!などと感慨にひたり新宿へ。
でも八幡には住めん。
いつものssへ。パティ・スミス、アレサ・フランクリンが良い感じの鳴っている。ビールの専門家などがいて、酒裏話が楽しい。でもおいらも生ビールは生だと、思っておるんだが。炭酸?酸素??酵母???
ミツーというハンガリーの変態歌姫も最高に面白い。
sへ。エゴ・ラッピンを初めて聴く。ヘエ日本人もここまで来たかい!というオヤジサンの言葉にうなづく。
「色彩のブルーズ」
好い歌だな。あまりに下町にあこがれた山手の唄。よいよい。
音楽、楽曲、唄。まあ、全ては「唄うこと」が曲を導いて行く。
それが唄、でもサックス、でも、太鼓、でも。
京王線に間に合う。しかし寝過ごす。胃がまたけいれん始める。
「のたうちまわれ!」
ハイハイ、あんたの言う事は聞かないよ。聞かないと。