「ジャズとは聴くものではない。ジャズとは体験するものだ」
と書いたは寺山だったか?
体験、いいねえ!まさしく20代の頃、ライブハウスに何度も行ききしたのは「体験したい為だった。「聴きたい」訳ではなかったなあ。都内の方々のジャズハウス、暴れに行きました 酒隠し持って。笑。
ライブハウスよりも、もっともっとジャズを体験したのが、G街のジャズバーでの、JBLから流れて来る大音量の音たち。当時体験した音の全てが残っていますな、今も。
音と匂いは面白いもんで、感じた瞬間、どれも、初めてそれに出逢った時の記憶を、一瞬に蘇らせる。ジャズに限る訳ではなく、虫の声も、花の匂いも。ふふふ、可笑しいね。
ライブハウスにもジャズバーにも
「聴きたいんじゃない!体験したいんだ!」
ってヤツで溢れていたな、なんて思い出す。
中でもそのジャズバーで味わった
衝撃の体験、というのが
衝撃の体験、というのが、アハハ、繰り返すなって!
「
ブッチ・モリス」の
「ロング・グッドバイ」
という唄。
『ホーミング』
というアルバムだったと思うが、このアルバムの美しさはこの世のものではないな、とこの世を全然理解していない若造のくせに、本気でそう感じた。体験した。今でも突然、あのイントロ、衝撃のイントロ、来ます。「ロング・グッドバイ」は2曲目なんだけれど、1曲目からメドレーできます。やや前衛な感じで幻想的、叙情的なエンディングを迎える1、、、そして、
「ふ?どうなるの?どうなるの?」
期待しながら待っていると、、、、、、
「ロング・グッドバイ」
のあの、あまりにもはかなく、美しく、せつない、ピアノのイントロが始まる・・ああ、鳥肌やねん!!タン・タン・タン・タン・タン・タン・タン・タン・・・・
もうこれしかない!というタイミング。モリスのコルネットがバックで喋る、踊る。
「音は行きたい方向を持っている。音が生きている、というのはそういうことだ」
とは我ながらの格言であるが、「ロング・グッドバイ」で確信しましたあるよ。
ハイハイ
突然、頭の中で流れる音楽とは、聴いた音楽ではなく、体験した音楽、音だ。
都内のライブハウスやジャズバーがつまらないと、今感じているのは
「聴きに来ている」人ばかりだと感じてしまうからであろう。
もちろん、「体験したい」人もたくさんいるのだろうが、分かり合えない。なぜか鈍くなってしまったのかな・・・自分の問題だ。それでもライブに行きジャズを体験している人、魅力的ですね。
嘘で始まる恋愛が、必ずしも嘘で終わらないように、音楽も続いて行く。
全てを抱えながら。