国分寺から中央線で二つ目が国立。国分寺と立川の間だから、国立。なんともとぼけた発祥の由来。春は大学通りの桜並木が、信じられないほど美しく、街中がショウアップされる年末もいい感じ。とても気持ちの良い街。国立。大昔隣街、立川の競輪場では、キセル目的のオヤジが
「コクリツから」
といって多く検挙?されたらしい。いい話だね。
最初に行ったのは「Candy Pot」というジャズバー。高校時代から20位までしょっちゅう通っていたが、仕事するようになってからはご無沙汰が続く。この日も
「あれ、久しぶり!」
「来る度に、ご無沙汰してます、ですみません・・・・」
なんて会話から。リー・モーガン好きのマスター(なにせ「candy!」)は昔から寡黙な人で、いや、それは俺のイメージだけかもしれないが、この日も数分話したあと、またまたお互いの時間に没頭。俺、真崎、マスター、読書。この関係がいいよね。
ビールとともに、コンビーフポテトを注文した。いい感じの夕食でしょ?コンビーフポテト。しかし旨い!相変わらず!都内のジャズを流す店、もう何軒か歩いているが、料理の味はここがイチ、ニの旨さ。他にもサンドイッチやトースト系のパン、ポトフ、ぞうすい、普通の洋食などなど、とにかく旨い。わりとスペースのある店なので、3.4人で美味しいもの食べるのもいいかな。行ってみてください。
ジャズはパソコンに落とした曲をランダムにかけているみたい。なんかビックリ!21世紀風??綺麗な音を綺麗に再現する、っていうところです。10代のころは、さんざんフリージャズリクエストして、今思えば嫌な顔、されていたのかな、なんて思い出したりする。今では無かったが、手塚の「ブッタ」が全巻揃っていて、何度も足を運び、読破した記憶まで甦る。マア昔は昔、今は今。未来は・・・・
久々のタンカレーをかっこみ、ナラ・レオンがハードに唄っているのが気持ちいいので、出る。
「今度はご無沙汰でないうちに来ます」
「ああ、ああ、よろしくね」
店に惚れるのもあれば、オヤジに惚れるのもありなのが、酒場の楽しみ。
若い娘が集まるような店は、嫌いではないが、どうも、どうも、どうも、だ。
「Candy Pot」は府中よりの道だが、もう一軒かなりのジャズ屋があると聞いていたので、立川よりの道を歩く。ところが、店の名前を知らなかった、、ありゃりゃ。横浜のレコード屋に勤め、国立在住のs氏に電話をし、教えてもらう。
「No Trunks」という店。s氏は、八百屋の4階、っていっていたが、花屋の5階にありました。同じ同じ。s氏の勤めているレコード店を数年前に辞め、始めた、そういう店。
「タローさん、フリーとかもバンバンかける、あんた好みの店だよ」
と方々の人から教えてもらっていたのでわくわくしながら・・・
凄えわ。いい音。デカイALTECの828G、スピーカーからほどよいデカさで、生の楽器がブンブン出て来る。アンプはマッキントッシュ。スピーカーALTECでこんなにいい音聴いたのは、10年近く前、マスターが亡くなって閉めてしまった、門前仲町の「T」以来。かなり驚く。かなり嬉しい。酒は取りあえずハーパーで。
「ペ、ペエ?」
アルバイトのネエちゃんには聞こえない。これがいいよね。ある程度の音量のジャズ屋では頬を近付けないと、酒を頼めない。
カウンターに2.3人。ボックスは俺だけ。でもカウンターはALTECに背をむける形になるんだよね。初めての店ではスピーカーと向かい合う、なんて、あってもなくてもどうでもいいようなポリシーを持っているせいか、スピーカーの前で。
キース・ジャレットの60年代のライブが、ビリー・ハーパーのBlack Saint時代(Soul Noteだったか?)のCDが物凄い音圧で流れる。こりゃいい。店内にはスウィングからフリーまでの様々なアナログ盤のジャケが飾ってある。それらも生き生きとしている。いいねえ。間違いなくここは好い店だ。お、次はそのアナログ。あれえ〜ガトーじゃないの!ガトー・バルビエリ!「ラスト・タンゴ・イン・パリ」で世界中の女と、マーロン・ブランドをメロメロにした、驚愕淫美の孤高のセック・・・いやいやサックス走者、いや奏者。アナログでは久々。あまりにぶ厚い音。フリーキーなガトーのセ、いやサックスの後ろでフラメンコギターが哭いているよ。いいねえ。こうなると、こういう音世界にもっとも似合う芋を呑むしかない。なんとメニューを見ると「玉露」も「八幡」もあるのよお。おねえ言葉になることはないが、なんとも、芋で聴きたい。
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そうこう呑んでいるとさすがに酔う、いつも通り。いや、ちょいと手前。
新宿ばかりで呑んでいたせいか、ジャズ好き初期の記憶の街を放っときすぎた、なんてしおらしく思い、酔いついでにS氏に電話し、
「俺ああ、胃腸の調子が悪いからパスだ」
と言われ、でも、もの凄くその言葉が楽しくて、嬉しくて、いい気分で、豊田駅止まりの中央線を選んで、帰宅。
今朝は思いのほか残っていない。陽の出る直前の浅川をミンガスと元気良く歩く。帰り道、とたんに腹がグルグルぐ〜。焼酎オンリーなら平気なんだが、いろいろ混ぜると結構弱めな腸が泣きはじめ急いで帰りました。
「そんな急がんといてー」
なぜか関西弁のミンガス。
今はJukius Hemphill聴きながら、お疲れさま。
以上です。