「プー横丁の店」
というジャズやロック、ラテンを流すいい感じの店が北口にある。そこで真崎を読もう、と思い、足を運ぶ。
「ン?ンンン???」
ない。え???????閉めちゃったの?????でも
「絶対閉める訳ない。きっと移転したんだろう。したのだ!」
とバカボンのパパ並みの自己O.K.で歩く。
「すみません、ちょっといいですか?」
「うん?なに?」
「あのう、その角に「プー横丁の店」ってありましたよね?」
『花水木』という赤ちょうちんの女将だ。
「ああ、プーさん、移転したのよ。もう一年くらい前かな」
「ああ、そうですか、それで、場所は・・・・」
「ここ右曲がってね、ほら靴の流通センターあるじゃない?」
「ああああ、分かります」
「そのトイ面の2階よ」
「ありがとうございます」
「わたしも終わってからよく行くのよ」
プーさんは20前後の時、よく来ていた。ミルトン・ナシメントとかこの店で教わった。やや緊張しながら入る。いきなりマイルスの「ダーク・メイガス」が踊っている。
「ビール下さい」
場所は変わっても、匂いは変わらないね。腹が減っている。
「さんまの張り子、っていう魚あるけど?どう?」
これは大人のさんまに成りきれなかったさんまで、小降りなんだが、メチャクチャ旨い。あ、干物、ね。おやじさんは焼津の出身で、そこから直に送ってくる、とのこと。
「この店には??」
「ああ、随分久しぶりなんですよ。移転してたんですね」
「そうそう、よく分かったね?」
「花水木のママさんに・・・」
「おおう!そう、あの人店閉めてからちょくちょく来るよ!」
それからいろいろな話をして、いい気分。国分寺は昔ジャズ天国だった。様々な店があり、10代後半から20そこそこの俺は、いろんな店で、たくさんのジャズを聴いた。でも、みんなつぶれちゃった。でもこうして健在のおやじさんといろいろな話をできて、とても気分がよい。音楽はマイルスからダラー・ブラントに、そして懐かしのミルトン・ナシメントに。いいね。
しばし歓談し、店を出る。「でんえん」というクラシック喫茶があるが、今日はパスして国立へ。
国分寺は好きな街だ。はじめて、てんかんみたいな病気で倒れたのも、たしか、「ラプソティー」というジャズ屋でバイトした、それも初日だった。17の時かな。
「夜はヴォーカルもいっぱいかけるんだよ」
と言われてから記憶がない。高校でた年の秋の文化祭の打ち上げ前に、またまた倒れたのも「シャノワール」という喫茶店の階段だ。「ラプソティーから皆で歩いている途中、
「あ、地震?街が揺れているよー」
と思って、次は救急車の中だった。20前後てえのは体一時的に弱るらしい。おかげさまで一昨年、完治し、薬は終わったが、急に思い出す。「ラプソティー」はセコムになり、「シャノワール」は健在だった。今になれば、皆、思い出。
国立の店をめざす。